
日野光里〈Hino Hikari〉
◆子供が2歳のときにパートを始めて6年勤めた後にマンガやゲームのシナリオライターとして独立し、現在は専業主夫家庭の大黒柱。
◆著作/ソフトバンククリエイティブ社刊「ホームズ・ツインズ!」九天社「マチともの語り」など。
◆新作ゲームはケータイアプリ「ヒルズの恋人」、【モット恋愛主義】にて配信の「レスQ」
◆産業カウンセラー、THP心理相談員、キャリアコンサルタント資格を有し、働き方の講演なども行う。
再就職への道
同じ職場で働いていても、覚悟の違いや価値観の違うままで働いている人は大勢いると思います。きっと、同じような価値基準で働いている人が多いところだと、共感を呼ぶことができて、仕事仲間ともうまくいきやすいのかもしれません。でも、違う場合がほとんど。
たとえばです。コーラスサークルに入るとします。普通に趣味として歌えればいいと思って入ったところ、そこは何度もコンクールに出ていて数々の賞をもらっていたとしましょう。自ずと優勝を狙うつもりの人と、そうでない人との価値観はズレてきますよね。
友達でコンクール前は喉を痛めないためにプールでは泳げなかった人がいます。それくらい一丸となってコンクールに情熱を傾けているわけです。それはそれで、とてもいいこと。けれどもし、そこまで頑張るつもりのない人がそういった価値観を強要されたとしたら
「場違いだ」
という思いが強くなって、もっと肌にあうサークルに移っていった方がいいということになるでしょう。
これって、実は職場にも言えることなんですよね。子供が熱を出した時の対応にも、人それぞれの価値観や仕事に対する覚悟の違いが出てきます。また、出てきてあたりまえだと私は思っています。
だから、同じような価値観のところに移っていければ悩みが少なくなりそうですが、そうはいかないこともあります。むしろ、いろんな価値観が混在したところで働くことが多いのではないでしょうか?
以前、どうしてもはずせない講演の仕事の時に娘が熱を出したために、実家から親を呼んだ話を書きました。それは、それくらい私にとって価値があると思ったからです。けれど、人によってはそうでないこともあるでしょう。自分がやりたいことのために熱のある娘の傍にいてやれないなんてと諦める人もいるはず。そこの秤は人それぞれのものがあって同じではありません。
特に子育て中は、その秤が人によって大きく違ってくる時期ではないでしょうか?
だから自分はそうしたけれど、そうしない人に
「なんで、しないの?」
という圧力は極力かけない自分でいたいです。
例えば以前、まるっきり子供と別居して週末にしか会えない働き方を提示された時に、私は必死に抵抗しました。けれど、その方法で社長になっている人もいます。
その人から
「どうして、子供と別居しても仕事に賭けなかったの?」
と言われても、それが私の価値観と秤だから、どうしようもありません。
もちろんその結果、もっと覚悟のある人の方にキャリア的意味合いにおいて上を行かれることもあるでしょう。けれど、それでもいいと思える自分がいます。
私の覚悟ではここまでだったから、ここまでのことしかできなくても仕方ないという気持ち。人によってはそれを負け犬や諦めとも呼ぶ人がいるかもしれませんが、自分で決断したことであれば、清清しいくらいの納得がそこにあります。
日常のパート勤めの中では、もっと細かいことで人の秤を非難することがあるように見受けられます。熱の翌日も様子を見て休ませる人もいれば、40度の熱が朝方まであっても出勤時間に下がれば預けて会社に来る人もいるでしょう。
けれど、それで秤の違いを非難しあうような職場だとギスギスすると思うんですよね。そうでない職場にいたので、いかに自分達がおおらかに仕事を進められていたのかを、ギスギスした職場の人に聞いた時に感じました。
人が向かう方向はそれぞれに違うし、秤も同じものは一つもない。そう理解することで、少しでも嫌な気持ちが消えて、働きやすい職場が一つでも増えることを願っています。お互いのために。
(投稿日 : 2008/7/7(月) 11:04 日野光里.)
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