
中村 雅和(Nakamura Masakazu)
いのしし社会保険労務士事務所所長。公務員として法律実務20年の実績を引っ提げ、社労士・ファイナンシャルプランナーとして独立開業。就業規則、企業のメンタルヘルス対策のスペシャリスト。(投稿日 : 2009/1/14(水) 14:41 中村 雅和.)
いのしし社労士と闘うあぱ子さん
給料計算や年末調整など、少しずつ総務の仕事をカキさんから習い覚えていくあぱ子でしたが、まだまだ覚えないといけないことは数多くあります。
次の仕事は健康診断。1年に1回、社員が交替で、会社指定医のところに受けに行くことになっています。あぱ子の仕事は、受診リストを作って指定医に送ること。
あぱ子自身は入社前に「雇い入れ時の健康診断」を受けていますので、今回の健診はありません。
あぱ子がカレンダーと社員名簿を見ながら必死に受診リストを作成していると、隣で仕事をしていたカキさんが、ぽつっと、
「昔はこの会社、定期健診をしてなかったんですよね…」
「ええっ?」前の会社は1年に1回、必ず定期健診を実施していましたので、そんな会社があったのかとびっくり。
「労働安全衛生法って法律があるんですけど、それでは1年に1回、必ず定期健診を受けさせなさいとなっていますので、完全に法律違反ですね」
カキさんは続けます。
「じゃあ、どうして…?」
「いのしし先生が…」
「いのしし先生?」
あぱ子の脳裏に蘇ったのは、労働契約を結んだときに会った、どこか落語家に似た、あの社会保険労務士でした。
カキさんは続けて、
「社長は、法律を破るタイプの人じゃないけど、知らないことは守りようがないし」
「あの先生がこの会社の顧問になって、少しずつだけど法律どおりにするように変わっていったんですよ」
「へぇーっ」あぱ子は見た目と違ってまじめな人だという印象は間違いじゃなかったんだなぁと改めて感心したのでした。
定期健診の費用も当然、会社が負担しています。会社として法律を守るのは「当たり前」とはいいながら、社員のための費用はなかなか出したがらないもの。
会社に提案した、いのしし先生もえらいけど、きちんと法律に則って、社員の健康を守ろうと決心した会社はもっとえらい!
あぱ子はあらためて「小さいけどいい会社に入ったなぁ」としみじみ実感したのでした。


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