
中村 雅和(Nakamura Masakazu)
いのしし社会保険労務士事務所所長。公務員として法律実務20年の実績を引っ提げ、社労士・ファイナンシャルプランナーとして独立開業。就業規則、企業のメンタルヘルス対策のスペシャリスト。(投稿日 : 2008/11/25(火) 11:10 中村 雅和.)
いのしし社労士と闘うあぱ子さん
「うそ・・・!」あぱ子はぼう然としてしまいました。
ある朝、いつものように出勤してみると、会社の扉に張り紙が。
「諸般の事情により、事実上倒産しました。連絡先は・・・」扉には鍵がかかっていて中に入ることはできません。
ぞくぞくと出勤してきた同僚は、「やっぱりね」とか「こんなに早く」とかのひそひそ話。あぱ子には何のことだかさっぱり分かりませんでした。
「あぱ子!」同僚のチカ子が走ってきました。
「倒産だって!知ってた?」あぱ子はチカ子に尋ねました。
チカ子は「うーん、うすうすは知ってたけど、こんなに早いとは思わなかった。そっか、あぱ子は最近、育児休業が終わって帰ってきたばかりだもんね」
あぱ子は今、32歳。7年前に結婚した旦那との間にようやく子どもができて、めでたく男子を出産。産休と1年間の育休を終え、子どもを保育園に預けて、会社に復帰したのでした。
この会社は女性向けの商品開発をサポートする会社で、社員もほとんどが女性。女性が働きやすいように、育児のための制度が他の会社に比べて整っていました。
当時、短大で就職活動をしていたあぱ子が、会社訪問をした中で、今の会社を選ぶ決め手となったのが、この充実した育児支援制度なのでした。
しかしつぶれてしまっては何にもならない。この数ヶ月、売上が極端に落ち込んで、資金繰りが苦しくなってきていたのを、他の社員は気付いていたのですが、育児休業から復帰したばかりのあぱ子は、仕事を思い出すのに必死で、そのことに気付かなかったのです。
「どうする?」あぱ子はチカ子にたずねました。
チカ子は「実はこの1ヶ月、就職活動してたの。どっちにせよ、もう辞めるつもりだったんだー」
「それで、次の就職先決まったの?」
「うん。簿記2級の資格を取ったから、税理士事務所に行くことにしたの」
「そーなんだー」
計画的に自分の将来を決めていたチカ子を、あぱ子はまぶしく見つめるのでした。


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